はじめに
病院で頚椎ヘルニアと診断され、整形外科で治療を続けているのに症状が一向に改善しない。そんな悩みを抱えている方は決して少なくありません。首から腕にかけてのしびれや痛みが続くと、日常生活にも大きな支障をきたし、不安な気持ちになることでしょう。
しかし、「治らない」と感じても、改善への道筋は一つではありません。整形外科での治療に限界を感じている方に向けて、頚椎ヘルニアの本質的な原因と、整体による改善の可能性について詳しく解説します。
頚椎ヘルニアとは?基礎知識を正しく理解する
頚椎の構造と椎間板の役割
頚椎は首の骨のことで、7つの椎骨が連なって構成されています。これらの骨と骨の間には「椎間板」と呼ばれるクッション材があり、体重を支え、首の柔軟な動きをサポートする重要な役割を果たしています。
椎間板は中心にあるゼリー状の「髄核」と、それを取り囲む「線維輪」という二重構造になっています。何らかの原因で線維輪に亀裂が入ると、内部の髄核が外に飛び出し、脊髄や神経根を圧迫する状態が頚椎ヘルニアです。
頚椎ヘルニアの主な症状
- 首から肩甲骨、腕にかけての痛み
- 手指のしびれや感覚障害
- 腕や手の脱力感
- 巧緻運動障害(細かい作業が困難)
- 重症例では歩行障害や膀胱機能障害
症状の現れ方は、ヘルニアの発生部位や神経への圧迫の程度によって異なります。羽田脊椎関節クリニックの専門医によると、正中ヘルニアと傍正中ヘルニアは脊髄を圧迫し、外側ヘルニアは神経根を圧迫することが多いとされています。
整形外科の治療に限界がある理由
保存療法の効果と限界
整形外科では、頚椎ヘルニアの治療として主に以下の保存療法が行われます:
1. 薬物療法
- 非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)
- 神経障害性疼痛治療薬
- 筋弛緩薬
2. 理学療法
- 頚椎牽引
- 電気治療
- 温熱療法
3. 神経ブロック注射
- 星状神経節ブロック
- 硬膜外ブロック
- 神経根ブロック
これらの治療は症状の緩和には一定の効果がありますが、根本的な原因にアプローチできない場合があります。特に、画像診断でヘルニアが確認されても、実際の症状の原因が別のところにある可能性が指摘されています。
手術適応とその限界
Medical Noteの専門医によると、脊髄の神経細胞が一度損傷すると、現在の医学では完全に元に戻すことができません。そのため、手術を受けても何らかの後遺症が残る可能性が高いのが現実です。
手術適応となるのは以下のような場合です:
- 6週間以上の保存療法でも改善が見られない
- 筋力低下や歩行障害などの重篤な神経症状がある
- 画像検査で神経の強い圧迫が認められる
しかし、初発時の症状の程度によって手術後の回復度も大きく左右され、完全な回復は期待できないケースも多いのが実情です。
なぜ整形外科の治療で改善しないのか?
画像診断の落とし穴
MRIやCTなどの画像診断でヘルニアが確認されても、それが必ずしも症状の直接的な原因とは限りません。実際に、以下のような要因が症状に関与していることがあります:
1. 筋肉の緊張と姿勢の問題
- 首や肩周りの筋肉の慢性的な緊張
- ストレートネックなどの姿勢異常
- 骨盤や背骨全体のアライメント不良
2. 神経の可動性低下
- 神経周囲の癒着
- 神経の滑走性の低下
- 筋膜の緊張
3. 生活習慣による継続的な負荷
- デスクワークによる前屈み姿勢
- 枕の高さや寝る姿勢の問題
- 長時間の同一姿勢
対症療法の限界
整形外科の治療は主に「症状を抑える」対症療法が中心となります。痛みや炎症を抑える薬物療法や、局所的な神経ブロックは一時的な症状緩和には効果的ですが、根本的な原因を取り除くことはできません。
そのため、治療を中止すると症状が再発したり、時間の経過とともに効果が薄れたりすることが多いのです。
整体による改善アプローチの可能性
整体の基本的な考え方
整体では、症状の原因を局所的な問題としてではなく、全身のバランスの中で捉えます。頚椎ヘルニアの場合も、以下のような全身的な視点からアプローチします:
1. 全身の構造バランス
- 骨盤の歪みや傾き
- 背骨全体のアライメント
- 肩甲骨の位置と可動性
2. 筋肉・筋膜の状態
- 深層筋の緊張パターン
- 筋膜の癒着や制限
- 筋肉間の協調性
3. 神経系の機能
- 自律神経の働き
- 神経の滑走性
- 血液循環の改善
整体で期待できる効果
1. 筋肉の緊張緩和 手技療法により、頚部や肩甲骨周りの深層筋の緊張を緩和することができます。これにより神経への圧迫が軽減され、症状の改善が期待できます。
2. 姿勢の改善 根本的な姿勢の問題にアプローチすることで、頚椎への持続的な負荷を軽減できます。特にストレートネックの改善は、症状の根本的解決につながる可能性があります。
3. 血液循環の促進 筋肉の柔軟性向上により血流が改善し、炎症物質の排出や組織の修復が促進されます。
4. 神経の滑走性改善 神経周囲の癒着を改善することで、神経の正常な動きを回復させることができます。
整体の安全性と注意点
整体を受ける際には、以下の点に注意が必要です:
安全性について
- 非薬物的な手法であるため、副作用のリスクが低い
- 自然治癒力を活用したアプローチ
- 個人の状態に合わせたオーダーメイドの施術
注意すべきポイント
- 急激な首の操作(首ポキなど)は避ける
- 症状が重篤な場合は医師の診断が優先
- 施術者の技術レベルや経験を確認する
整形外科の専門医も指摘しているように、首を強くひねる「首ポキ」などの施術は椎骨動脈解離のリスクがあるため、避けるべきです。
整体で改善が期待できるケース
症状のレベルによる判断基準
改善が期待できる場合
- 筋肉の緊張が主な原因と考えられる症状
- 姿勢の問題が明確に関与している場合
- 画像診断と症状の程度に乖離がある場合
- 保存療法で一定の改善が見られるケース
医師の治療が優先される場合
- 重篤な神経症状(筋力低下、歩行障害など)
- 膀胱直腸障害がある場合
- 急速に症状が悪化している場合
- 画像診断で重度の神経圧迫が認められる場合
整体と医療の連携の重要性
最も理想的なのは、医師の診断と並行して整体を活用することです。以下のような連携が効果的です:
1. 医師による正確な診断
- MRI検査による詳細な画像診断
- 神経学的検査による症状の評価
- 手術適応の有無の判断
2. 整体による補完的アプローチ
- 筋骨格系の機能改善
- 姿勢や動作パターンの修正
- 日常生活での予防策の指導
自宅でできる改善方法
首や肩周りのストレッチ
1. 頚部側屈ストレッチ
- 椅子に座り、右手で左耳を頭上から触るように頭を右に倒す
- 左肩が上がらないよう注意し、30秒キープ
- 反対側も同様に行う
2. 胸鎖乳突筋ストレッチ
- 右を向いて顎を上に向ける
- 左の首筋が伸びているのを感じながら30秒キープ
- 反対側も同様に行う
3. 僧帽筋上部ストレッチ
- 右手を腰の後ろに回し、左手で頭を左に傾ける
- 右の首から肩にかけてのストレッチを感じながら30秒キープ
枕の高さの見直し
適切な枕の高さは症状改善の重要なポイントです:
理想的な枕の高さ
- 横向きで寝た時に、頭から首のラインが真っ直ぐになる高さ
- 仰向けで寝た時に、顎が軽く引けた状態になる高さ
- 首のカーブが自然に保たれる高さ
枕選びのポイント
- 硬すぎず柔らかすぎない適度な弾力
- 頭と首の形にフィットする形状
- 通気性が良く、清潔を保てる素材
生活習慣の改善
デスクワーク環境の最適化
- パソコンの画面の高さを目線と同じレベルに調整
- 椅子に深く座り、背もたれを利用する
- 30分〜1時間ごとに首や肩のストレッチを行う
姿勢の意識改善
- 歩く時は顎を軽く引き、肩甲骨を寄せる意識
- スマートフォンを見る時は画面を目の高さまで上げる
- 長時間の同一姿勢を避け、こまめに体勢を変える
よくある質問と専門家の回答
Q. ヘルニアがあると整体では治せないのでしょうか?
A. ヘルニアが画像で確認されても、症状の原因がすべてヘルニアによるものとは限りません。筋肉の緊張や姿勢の問題が主な原因の場合、整体による改善が期待できます。ただし、重篤な神経症状がある場合は医師の診断と治療が最優先です。
Q. 手術が必要かどうか不安です…
A. 手術が必要なケースは全体の10〜40%程度で、多くの場合は保存療法で改善が見込めます。手術適応の判断は症状の重症度や日常生活への影響度によって決まります。まずは安全性の高い保存的アプローチから始めることが一般的です。
Q. 整体を受ける際の注意点はありますか?
A. 以下の点にご注意ください:
- 急激な首の操作を行わない施術者を選ぶ
- 症状が悪化した場合はすぐに中止する
- 医師の診断結果を施術者に共有する
- 無理な施術を強要しない治療院を選ぶ
Q. どのくらいの期間で改善が期待できますか?
A. 症状の程度や原因によって大きく異なりますが、筋肉の緊張が主な原因の場合は数回の施術で変化を感じることが多いです。根本的な改善には数ヶ月程度の継続的なアプローチが必要な場合もあります。
治療選択のための判断基準
医師の治療が最優先される症状
以下の症状がある場合は、必ず医師の診察を受けることが重要です:
- 筋力の著しい低下(MMTが2以下)
- 歩行困難や転倒しやすい
- 膀胱機能の異常(尿意がない、失禁など)
- 両側に症状が現れる
- 症状が急速に悪化している
整体による改善が期待できる症状
以下のような場合は、整体による改善アプローチが有効な可能性があります:
- 片側のみの痛みやしびれ
- 姿勢の変化で症状が変わる
- 朝の症状が強く、動くと楽になる
- ストレスや疲労で症状が悪化する
- 画像所見と症状の重症度に乖離がある
予防と再発防止のポイント
日常生活での予防策
1. 正しい姿勢の維持
- デスクワーク時の適切な姿勢
- スマートフォンやタブレットの使用方法
- 睡眠時の姿勢と寝具の選択
2. 定期的な運動とストレッチ
- 首や肩周りの柔軟性維持
- 深層筋の強化エクササイズ
- 全身のバランス調整
3. ストレス管理
- 十分な睡眠時間の確保
- リラクゼーション技法の習得
- 適度な運動によるストレス発散
早期発見・早期対応の重要性
頚椎ヘルニアは症状が軽度なうちに適切な対応を行うことで、重篤化を防ぐことができます。以下のような症状を感じたら、早めの相談をおすすめします:
- 首や肩のこりが慢性化している
- 手指に軽いしびれを感じる
- 朝起きた時に首が痛い
- 頭痛が頻繁に起こる
まとめ:諦めずに次の一歩を踏み出そう
整形外科での治療で思うような改善が得られなくても、それは決して「治らない」ことを意味するものではありません。頚椎ヘルニアの症状には様々な要因が複雑に絡み合っており、アプローチ方法も一つではないのです。
重要なポイント
- 画像診断だけでは判断できない症状の原因があること
- 筋肉や姿勢の問題が症状に大きく関与している可能性
- 整体による全身的なアプローチで改善が期待できるケースがあること
- 医療と整体の連携が最も効果的であること
- 日常生活の改善が根本的な解決につながること
“良くならない”と感じても、改善への方法は必ず存在します。一人で悩まず、信頼できる専門家に相談し、あなたに最適なアプローチを見つけることが大切です。
症状の改善には時間がかかる場合もありますが、適切な方法を継続することで、必ず良い変化を実感できるはずです。諦めずに、安心して次の一歩を踏み出してください。

